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「告白」

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和歌山の殺人事件は容疑者が捕まってくれてひとまずは良かったです。

しかし世の中って不気味な悪意と暴力があまねく潜んでいて始末におえません。


ほんの三ページ程を読んで「この主人公嫌やなあ」と思いました。憎悪の塊。娘を殺された母親なのだから、理解はできるのですが。この調子で全編やられるとキツイなあ、と思ったのですが、元は短編なので、すぐに語り手はチェンジしてくれました。

しかし、そこからもまだまだ続く悪意の告白。

映画も好評だったという、湊かなえのデビュー作。著作が次々ドラマ化や映画化される人気作家さんですが、読むのはこれが初めてです。

登場人物全員イタイ。一つの殺人事件を別々の視点から語る「薮の中」方式で、それぞれの形で毒を吐き続けていきます。毒々しい割にサラッと読めて面白いのですが、後半になってくるとだんだん「毒」に慣れたか、飽きがくる感じです。

ネットで簡単に情報を得られる今時の中学生たちがHIV感染者に対してそこまでヒステリックに反応するのはどうだろうか、もっと冷めてるんじゃないだろうか?などなどツッコミどころも幾つか出てきます。

結局のところ、理屈抜きの純粋な憎しみと悪意の追求がこの作品の成功要素であり、かつ物足りなさでもあるように思えました。

投稿者 xpa8mk | 返信 (0) | トラックバック (0)

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